近年、ローカルPCで ChatGPT のような 大規模言語モデル(LLM)を自分で動かす人が急増 しています。
そのとき必ず出てくる疑問がこちらです。
「LLMって、なんでGPU(グラフィックボード)が必要なの?」
この記事では初心者でも理解できるように、
- GPUが必要な本当の理由
- VRAM(ビデオメモリ)とは何か
- VRAM容量で動かせるLLMの目安
- 目的別のおすすめGPU
を、図解レベルのわかりやすさで解説します。
なぜLLMにGPUが必要なのか? → 理由は「並列計算の強さ」
多くの人が GPU=ゲーム用パーツ と思いがちですが、実は GPU の本質は、
「大量の簡単な計算を一度に処理する力がケタ違いに強い」
という点にあります。
■ CPUとGPUの違い(初心者向けの例え)
| CPU | GPU | |
|---|---|---|
| コア数 | 4〜16個ほど | 数千〜1万以上 |
| 得意な処理 | 複雑な処理を素早く | 同じ計算を大量に同時処理 |
| イメージ | 頭の良いエンジニア10人 | 作業員2000人 |
LLM(ChatGPT の仲間)が行っている処理は、
- 複雑な思考よりも「大量の行列計算(同じ計算のかたまり)」
- 何千回・何万回と同じ形の計算を同時実行
という性質のため、
GPUの並列処理性能が圧倒的に向いている
→ GPUならCPUの10〜50倍速い
という結果になります。
LLMの中身は「巨大な行列計算」がほとんど
ChatGPTのようなLLMは内部で何をしているのかというと、
ほぼすべてが “巨大な行列の掛け算(Matrix Multiply)”
です。
1つの単語を生成するだけでも、
数千×数千の行列を何十回も計算 します。
トークン(文字や単語)が増えれば、
その回数がそのまま掛け算のように増えていきます。
つまり、
LLM=行列計算の塊 → GPUが最強
という構造なのです。
VRAMとは?LLMにおける「脳を置く場所」
GPUには VRAM(ビデオメモリ) という専用メモリがあります。
VRAM=GPU専用の超高速メモリ
LLMを動かすとき、このVRAMには
- モデルの重み(パラメータ)
- 推論時の作業領域(KVキャッシュなど)
が読み込まれます。
そのため、
VRAM容量 = 読み込めるモデルの最大サイズ
となります。
VRAM容量で動かせるLLMの目安(初心者向け)
以下は一般的な量子化モデル(Q4〜Q6程度)を想定した 現実的な目安 です。
| GPU VRAM | 動かせるLLM | 実用レベル |
|---|---|---|
| 4GB | 3B〜4Bクラス | 超小型・サンプル用途 |
| 6GB | 軽量7Bがギリギリ | かなり遅い/実用は厳しい |
| 8GB | 7B標準モデル | ローカルAI入門に最適 |
| 12GB | 7B〜13B | 実用速度で十分使える |
| 16GB | 13B安定動作 | 質の高い生成が可能 |
| 24GB | 34Bクラス | 高性能ローカルAI環境 |
| 48〜80GB | 70B(GPT-4級) | ほぼ研究/商用レベル |
※シーケンス長やバッチサイズで必要VRAMは増減します。
初心者の目的別:買うべきGPUはどれ?
⭐ とにかく LL M を試したい(コスパ重視)
- RTX 4060(8GB)
- RTX 3060(12GB)
→ 7Bモデルが快適に動く。入門なら最適。
⭐ 実用レベルでローカルAIを使いたい
- RTX 4070(12GB)
- RTX 4070 SUPER(12GB)
→ 13Bが高速。文章生成も十分。
⭐ 高性能モデルを扱いたい(上級者)
- RTX 4090(24GB)
- RTX 5090(32GB予定)
→ 34Bモデルが高速に動く。
⭐ GPT-4 クラスの 70B モデルを動かしたい(研究レベル)
- NVIDIA A100 80GB
- NVIDIA H100 80GB
- RTX 6000 Ada(48GB) ×2枚以上
→ 個人で買うのは現実的ではない価格帯。
まとめ(この記事のポイントだけ復習)
最後にもう一度、初心者向けに超簡単にまとめると:
- LLMは“巨大な行列計算”を繰り返す仕組み
- GPUは行列計算が圧倒的に得意
- VRAMはモデルを読み込む“脳みその置き場所”
- VRAMが多いほど大きいモデルが動く
- おすすめは 8〜12GB → 実用なら12〜16GB以上
これだけ押さえておけば、
ローカルLLM環境づくりで迷うことはありません。

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