電柱や変電設備には「避雷器(アレスタ)」という機器が付いています。
これは名前のとおり、落雷による過電圧から機器を守る装置ですが、
「なぜ雷がアレスタのほうに流れていくのか?」
と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、難しい式を使わずに、できるだけ“イメージしやすい言葉”でその仕組みを説明します。
アレスタはふだんは「何もしない装置」
避雷器は普段は ほとんど電気を流さない装置 です。
内部には「酸化亜鉛(ZnO)素子」という材料があり、この材料は通常は電気が流れにくい(絶縁している)状態になっています。
つまり、
- ふだん → 電気を通さない(高抵抗)
- 機器に悪さをしない
- 回路は普通に動く
という状態です。
雷(ものすごい高電圧)が来ると性質が激変する
雷サージが電線に乗ってくると、数十万ボルトという非常に高い電圧が一瞬だけ発生します。
すると、アレスタの中の「酸化亜鉛素子」は
抵抗が一気に下がり、電気を通すようになる
という性質を持っています。
これが避雷器のいちばん大切なポイントです。
普段は絶縁体のようにふるまっていたのに、雷が来た瞬間に急に電気を通す道に変わるわけです。
雷は“流れやすい道”を選ぶ
電気は基本的に、
流れやすい(抵抗が小さい)道へ向かう
という性質があります。
雷が電線に入ってきたとき、アレスタは雷によって抵抗が下がり、一番流れやすい道になります。
アレスタは地面(アース)とつながっているため、
雷サージ
→ アレスタ(低抵抗)
→ アース(地面)へ逃げる
という流れになります。
結果として、アレスタが雷を吸い込み、機器を守るというわけです。
要するにこういうこと
アレスタの仕組みを一言でまとめると……
「雷が来た瞬間だけ抵抗が下がる特別な材料を使って、雷の電流を地面に逃がす装置」
です。
ふだんは「何もしない」。雷のときだけ「最強の保護装置」になる。
これが避雷器の特徴です。

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