【小説レビュー】無人島に生きる十六人【須川邦彦】

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小説

須川邦彦の『無人島に生きる十六人』を読みました。

評価(4/5):★★★★☆

選んだ理由:AMAZONでの評価が高ったので。

須川邦彦さんの作品を今までに読んだことがありません。プロフィールを見ると、1880(明治13)年生まれ、1949(昭和24)年死去となっており、かなり昔に書かれた小説になります。私が読んだものは、文体が現代分にアレンジされていたので、最近の小説なのかと思った気がします。初めて読む作者の作品なので、どのような感じなのか(読みやすさ等)、読む前は全く分からなかったのですが、AMAZONのレビューの高さから選んでみました。

タイトルから連想する通り、無人島に16人が遭難した話であることは容易に想像できました。

この小説を読んで下記のことが感じ取れました。

  • リーダーとしての役目
  • 規律を守ることの大切さ
  • 助け合う事の大切さ
  • 困難に置かれた時の心理

これ以上は、ネタバレになるので、まだ読まれていない方は、以下は読まないでください。

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16人という多くの船員が、無人島に遭難してしまう話です。その遭難してしまう島は、テレビでよく見るような、木々が生い茂ったような島ではなく、岩肌とサンゴ礁で出来上がったような島です。井戸を掘ってもきれいな水は湧き出ず、また煮沸して水をろ過するできるようにする為の燃やす木々も少ない状況で、魚と亀と海鳥だけは十分にとれるという、かなり過酷な生活を強いられることになります。

見渡す限り海で、いつ助けが来るかわからない状況に置かれたとき、自分なら絶対に精神的に持たないと思いました。16人もいて、清潔に飲める水もない、塩っぽい水を飲まないといけない。発狂しそうです。

中川船長が、孤立した無人島に何年も暮らすとなれば、船員の中で、故郷を恋しくなったり、助けがいつ来るかわからなく、気がおかしくなってしまう者が出てくるかもしれないと、最初に気にされます。年配の船員を集めて、その懸念点を共有し、若い船員たちの気持ちが揺るがないよう、気に掛けるように伝えるところがあります。

全員が故郷が恋しいのは当然で、その気持ちを出さないように、耐えるように頑張っている。例えば、一人が、故郷が恋しい恋しいと言ってしまう。そうなってしまえば、他の我慢している者も同じように、我慢している心が揺らいでしまう。一人が、チームワークを乱す行動をしたら、チーム全体がまとまらなくなってしまう。特にこのような無人島で、絶望感にあふれる人が居たら、他の人にも同様に絶望感にあふれてしまう。困難な状況に陥った時に、一番崩れやすいのが、人間の心。この物語では、全員が強い意志を持ち、船長が作った規律を守り、日々の仕事を全うし、規則正しく生活することで、乗り越えていきます。時にはみんなで和気あいあいに話し合い、笑いあうことで、島での生活が楽しいものであると感じ、いつか自分たちは助かると希望を忘れずにいる。

アザラシの下りで、アザラシとは接触しないという決まりが有ったにも関わらず、2人が規則を違反して、アザラシと接触をしてしまうという場面があります。この場面で、チームが乱れてしまうのかなと思いましたが、素直に謝罪するという展開になります。はやり、人がたくさんがいれば、違反してしまう者も出てくるでしょう。そこで、正直に謝罪することで、さらなる木綱が強まるようになります。違反した経緯は、わがままさからくるものではなく、心の優しさからくるものであった為、違反したものが、どういった者たちかを知ることになったんだと思います。

また海ブドウの話では、船長が食べてみる事を止めているにも拘わらず、一人が毒見をしてしまうところがあります。みんなの為を想って、毒見をする。お互い、助け合う心が無いとできないと思います。

船長の指示したことを破ってしまう話は、すべて心の優しさから来ています。それだけ、今回の船員たちが、仲間思いの人たちであったということが伺え、この苦境を乗り越えられたのだと思います。

一番、ほっとしたのは、アザラシを殺す話が出た時。一番、素っ気ないアザラシが、船員の一人の川口とだけ打ち解けます。そして、2人が病気になってしまい、アザラシの肝が必要になった時に、このアザラシを殺して肝を取ろうということいなります。幸いにも、その瞬間に、近郊で船を見つけることになり、殺さずに済みます。

この小説は、16人の船員が、無人島に遭難して、お互い助け合い、支えあって無事に助かります。最後のアザラシの話で、どんな正当な理由であれ、アザラシを殺してしまうということになっていれば、少し、後味が悪い気がしました。船員はアザラシと戯れることで、無人島生活の辛いさを癒していました。それが、最後に犠牲になるのは、ちょっと辛いなと思いましたが、無事に殺さず済み、最終的に、アザラシ達と生きてお別れが出来たのがよかったです。

ワクワクするような話の展開ではありませんが、じっくり無人島で、船員たちがどのように日々を乗り越えていくかを読むことが出来ました。登場する人物は、すべて心が強く、助け合う心をもっているので、読んでいると、自分の心も、逞しくなってくるような気がしました。

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