今回は、スウェーデンで、木製の風車のタワーが建設されたという記事の『Modvion社の木製タワー』を紹介します。
【InceptiveMind】Modvion erected first 30-meter wooden wind power tower in Sweden(モドヴィオン社がスウェーデンで30メートルの木製風車タワーを初めて建設)
この木製タワーを製造しているのは、スウェーデンの会社『Modvion』という会社です。
風車は、風を受けて羽を回転させて発電します。その為、タワー上部のナセルは、振動が激しい状態です。
振動のあるナセルを支える為、タワーは強度を要し、通常、鋼鉄(スチール)で出来ています。
しかし、Modvionは、タワーの材質を『木製』しているのです。
強度について気になる所ですが、ラミネート加工した木材は、同重量の鋼鉄よりも強度があるとのことです。
Modvionが木製のタワーを採用している理由は下記の通り。
- 材料の木は、成長過程で二酸化炭素を吸収するので、環境には優しい材料
- 木製は鋼鉄製よりも安価
- 分解して搬送でき、鋼鉄製より、ハンドリングが楽
1,2について考えたいと思います。
再生可能エネルギーの普及で、各地で風車の建設が増えてきています。建設が増えていくと、タワーで使われる材料の鋼鉄が品薄になり高価になっていきます。木製であれば、育つまでに年数はかかりますが、植林していけば材料難に陥ることもありません。
また、木が育たない環境にならない限り、価格が高騰することは考えにくいのではないでしょうか。また、材料となる木を植林していくことで、二酸化炭素の吸収にもなります。
3については、風車建設の難点を解決できる策になります。
風車の円筒型のタワーを搬送することは、大変な重労働になります。道路の確保であったり、搬送トラックの運転であったり。そして、数が多ければ、より大変な作業になります。
しかし、Modvionの木製のタワーは分解して搬送出来る為、一度に多くのタワーの部材を搬送することが出来ます。これは、上記の搬送の難点や搬送費用の削減にもつながります。
記事で紹介された、初めての木製タワーの風車の高さは、30メートルです。ModvionのHPで、搬送風景が掲載されています。30メートルという長さなのか、タワーは分解されずに搬送されています。
しかし、2022年には110メートル高のタワーが1基、150メートル高が10基、建設予定になっています。これらの風車の建設時には、木製のタワーが分解された状態で、搬送され、組み立てられる状況が見られることになるのではないでしょうか。
個人的には、処分が容易になるということも木製の利点だと思います。鋼鉄であれば、リサイクルするすることが利点ですが、木製であれば、そのまま焼却できるという事が出来ます。材料が、完全に地に還るという点で、プラスチックのような汚染することもなく、地球に優しいと言えるのではないでしょうか。
Modvionの木製風車タワーが日本で観られる日も、遠くないのかもしれません。
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